野良猫的物欲生活

野良猫の野良猫による野良猫のための日報

めも(某著作権管理団体の寄附講座は今年もあるのかな)


こんなものをみつけた。

2010年度 早稲田大学大学院法務研究科
秋学期JASRAC公開講座「著作権法特殊講義」
『著作権侵害をめぐる喫緊の研究課題』

http://www.globalcoe-waseda-law-commerce.org/rclip/reservation/2010_1.html


秋学期に隔週土曜日開講。講座のみであれば無料(※懇親会は有料)。一回完結。

これは昨年の要項で,今年も開講されるかはよく分からない*1のですが,もし仮に開講されるならば受講したいと思います。


ちなみに過去の公開講座(2009年度,2010年度)はいずれも書籍化されています。

※前掲の講座は 高林龍[編著] 『著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題(早稲田ロースクール著作権法特殊講義2)』(成文堂,2011.05.)として書籍化。

http://www.amazon.co.jp/dp/4792332834

//図書館にになかったので購入希望を出したけど通るかしらん。

(7/26追記)あっさりと購入決定が下りました。購入と配架前整備を待ちます。

*1:昨年度の[http://www.waseda.jp/law-school/jp/news/index100924.html:title=プレスリリース]は9月下旬に出ているようなので,それまで待たなければなりません。

2011年03月26日のツイート

情報社会と法について考える(ゼミ紹介用に書いた文章)

長いだけで内容がない.

本文

 当ゼミの目的は,情報社会における法と制度について考察することにある.情報社会の進展は法や制度にどのような影響をもたらし,齟齬をうむのか.また,その齟齬を埋めるためには,どのような方策が妥当であるのかを考察する.
なぜ,情報社会を問題とするのか.ここに簡単に記しておこう.
 21世紀を迎え,10年の年月が経過した.
21世紀を迎えたとき,人々は次の100年について様々な希望を語った.
当時と現在を比較したとき,このわずか10年で日本社会と日本を取り巻く世界情勢は様々な形で大きく変化し,また今も変化し続けている.
そして,社会情勢だけでなく社会の基盤となる技術や知識も同様に変化している.
これらの変化の中で特筆すべきことのひとつとして,社会の情報化が挙げられだろう.
情報化した社会,情報社会(Information Society)とはどのような社会だろうか.
当初,情報社会は「モノ」がつくられ流通する産業社会(Industrial Society)と比較され,テレビなどのマスメディアを筆頭とする情報産業や情報技術が主力となる社会であると考えられていた.
 
しかし,'90年代の終り頃からパーソナル・コンピュータとインターネットが一般大衆に普及したことで,もはや報道機関のような専門的な職業団体でなくても容易に情報を発信することができる社会,すなわち「情報」を個人が創出し流通させる事ができる社会の到来が予感された.
予感は的中した.ウェブページをより簡単に制作できるようにソフトウェアが開発され,ウェブは瞬く間に情報の波に飲まれた.
星の数ほどあるウェブページを整理・検索するために検索エンジンが開発され,手軽かつ検索エンジンからたどりやすい情報を発信出来るようにとウェブログが登場した.
作家の東浩紀*1によれば,ウェブログを提供する一部のサービスは一種の文壇的な役割を担い,言論の場となった.この例は情報技術が個人の自由をエンパワーメントする好例といえるだろう.
 ウェブ上におけるこうした変化は草の根レベルでの変化を映し出してはいる.しかし,これと法がどのような関係にあるというのか.このことを説明するにはもうすこし話を進めなければならない.
昨年,世界を震撼させる事件が起きた.内部告発サイト『ウィキリークス』によってアメリカの外交公電が公開されてしまったのだ.中には日本から発信された「極秘」「秘」扱いの公電も含まれていた.
ウィキリークス』については賛否両論あるだろう.しかし,ここで注目すべきなのは民間人が創設したサイトが情報技術を活用することによって告発者の素性を秘匿し,必要なデータだけを公開しているという事実である.これこそWorldWideWeb草創期に予感されていた<誰もが情報を創出し,流通させる>ことの一つの可能性ではなかったか.
ウィキリークス』は先に述べたウェブログと比べて発信までの過程に技術的な差があり,ボランティアの手を借りている.しかし専門職業集団でない個人が情報を流通させているという点で両者は一致する. そして注目すべきなのは『ウィキリークス』が国家や国家の要人に不利益な情報を積極的に流通させている点である.直接関わりのない民間人が国家の機密情報を明るみにし,そしてその情報が社会から真実であると信用されたという事実はきわめて重要だ.

 民主主義の根幹は自由な表現,情報伝達にある.それゆえに我が国の憲法は通信の不可侵を定め,表現の自由を保障する. しかし,これらの権利が情報技術を利用した政策,制度によって意識の難しい制約を課される危険はないだろうか.個人が情報技術を駆使できることを考えるとき,行政もまた情報技術を駆使し,政策や制度に組み込むことは当然想定されなければならない.
情報技術は個人の自由を拡大する可能性を秘める一方で,制限する用途にも強力に作用する.
情報技術は,その利便性から広く社会に受け入れられた.
わたしたちは普段から様々なガジェットを身につけている.今,この文章を読んでいるあなたは情報技術のない生活を想像できるだろうか.
 例えば,あなたが友人と連絡を取る携帯電話.
電話,Eメールの送受信のほかにGPSを使えば現在地を確認して道案内もしてくれる.携帯電話は情報技術の結晶といえるかもしれない.
あなたが交通機関を利用するときに改札にかざすICカード.ホームで喉が渇けば自動販売機にかざして飲み物を買うこともできる.いくらのモノをいつ買ったのか,いつどの駅を利用したのかはすべて記録され,手続きを踏めばICカード会社のホームページから履歴を閲覧する事もできる.
これから先,日常生活で使用される情報機器はますますその種類を増やし,また高度な技術を用いたものになるだろう.
それによって私たちの暮らしはより自由に,より楽になるかもしれない.しかしそこには情報技術を悪用した犯罪や新たな法的問題が潜んでいるかもしれない.
 そのとき法律はどのように運用されるのだろうか.そもそも新しい情報技術に対して,その技術を想定していない法や制度を適用し続ける事は果たして妥当だろうか.
事態に対処するべく新たな法律が制定されたとしても,その対象範囲が狭すぎては意味がないし,広すぎれば無用な規制を招くだろう.その境界を決定する方法は従来の通りで問題はないのか.
 法学者の白田秀彰*2は6年前,ised*3理研において情報時代の法律について「社会をプログラミングする方向へシフト」*4するべきだと主張した.情報社会と法の関係は今,極めて重要な局面にある.
今年3月,東北地方太平洋沖の広い区域を震源とする地震が発生した.多くの犠牲者をうみ,甚大な被害をもたらしたこの震災では首都圏に電力を供給していた原子力発電所が被災した.原子力発電所の故障はこの原稿を執筆している時点でも予断を許さない状況が続いているが,枝野官房長官は故障発覚以来,放射線の観測値について「直ちに健康に害を及ぼすような数値ではない」と発表している.ところで原子力発電所の故障が発覚してからのウェブ上の反応は興味深い.Twitterなどウェブ上のコミュニティでは海外の報道映像が拡散された.当初,日本では報道されていなかった爆発の様子が認知されるにつれ,政府がなんらかの情報を隠しているのではないか,といった不安の声が挙がり,一部消費者の間では既に水や食料などの買い占めが発生している.
 これらの事例からは政府から情報が公表されないことによって国民が疑心暗鬼となり不安解消行動に走る様子が見てとれる.
 状況は刻一刻と変化しており,先を予測する事は不可能だが,この震災が後の行政施策に影響を与えるのは必至だろうし政府と国民の間にある情報の非対称性についてもそのバランスが改めて議論されるだろう.

 情報社会で法や制度はどのような役割を期待され,どう変化するべきなのか.’10年代に突入し情報環境に変化がみられる今こそ考える契機が巡ってきたといえるだろう.

*1:作家.早稲田大学文学学術院教授.

*2:法学者.法政大学社会学部准教授.専攻は知的財産法,情報法.[http://orion.mt.tama.hosei.ac.jp/hideaki/:title=公式Web]

*3:情報社会の倫理と設計に関する学際的研究(Interdisciplinary Studies on Ethics and Design of Information Society).略称はised.2004年からおよそ2年間にわたり,情報技術と社会の関わりについて検討する事を目的として国際大学グローバル・コミュニケーションセンター([http://www.glocom.jp/:title=GLOCOM])で開催された研究会.研究会は社会科学的側面からアプローチをおこなう「倫理研」と技術的側面からアプローチをおこなう「設計研」に分かれていた.

*4:[http://glocom.jp/ised/20050108/:title=白田秀彰「情報時代の保守主義と法律家の役割」](ised理研 第2回講演.2005年1月8日,国際大学GLOCOM).東浩紀・濱野智史(編)『ised 倫理篇』(河出書房新社,2010年)所収.

2011年03月24日のツイート

2011年03月22日のツイート

2011年03月21日のツイート

2011年03月20日のツイート

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